一生に一度の買い物と言われている住宅ですが、過去に中古住宅を購入され、新たに新築住宅を購入するという方も中にはおられると思います。
現金で現自宅を購入し、住み替え先の住宅も現金で購入する、ということであれば資金面で悩むことはないかもしれません。しかし多くの方が住宅ローンを利用されているはずですし、新しい住宅でも新たに住宅ローンを組むものと思います。
住み替えの際に利用する住宅ローンのことを「住み替えローン」や「すみかえプラン」などと言ったりしますが、一口に住み替えと言っても細かくみると以下のチャートのように様々なパターンがあります。ポイントは2つあり、住宅ローンの残債があるかどうか、もう一つは現自宅の査定額です。
新しく購入する住宅ローンの種類をA~Dの4種類に分類しましたので、一つ一つ簡単にご説明します。
【パターンA】
パターンAは通常の住宅ローンとなんら変わりありません。共通点は新しい住宅ローンの融資実行(引渡し)までに現自宅のローンが完済できている点です。新しい住宅ローンの申込時点ではまだローンが残っていたとしても、融資実行までには完済するという前提で申込、承認を得ることが出来ます。
【パターンB】
現自宅を売却しても残債のほうが売却額よりも大きく、そのマイナス分も新しい住宅ローンに上乗せして借りるローンです。
パターンBも現自宅のローンが完済される前提で審査されます。しかしマイナス分、差損はいくらでも上乗せできるというわけではなく、金融機関によっては○○万円以内という限度があります。例えばりそな銀行では1000万円が上限となっています。
極端に通常の住宅ローンよりも審査が厳しいというわけではありませんが、パターンAよりもややハードルが高いと言えるでしょう。また取り扱い自体が無い金融機関もあります。
【パターンC】
いわゆる「買い先行」「後売りローン」などと言われる手法です。現自宅が残債を超える金額で売却できる、あるいはその見込みがある場合、新居に住み始めた後に売却することを銀行が許容してくれるというものです。
仮住まいが不要であることに加え、売却活動に時間をかけることができるため、時間的制約がある場合よりも高く売れる可能性があるという大きなメリットがあります。
新しい住宅ローンの審査の際に、現自宅の残債が分かる資料と売却の査定書を提出し、査定額が残債よりも一定以上高ければOKです。「一定以上」というのは銀行ごとに基準が設けられており、査定額が残債の120%以上必要な銀行もあれば、査定額が残債以上であればよい銀行など様々です。
ただしメリットばかりではなくデメリットもあります。それはダブルローンになる期間が発生する場合があるという点です。
新しい住宅ローンを借りて新居に住み始めてから半年後に旧自宅が売れた場合、その半年間はダブルローンとなり家計を圧迫する事になります。この期間だけ元金据置(金利だけの支払い)を選択できる銀行もありますが、金利を多く支払う事には変わりがないので出来れば避けたいところです。
また新しい住宅ローンの実行から半年、あるいは1年以内に旧自宅を売却するという条件が必ず付きます。その期間を過ぎたら一括返済を求められるというわけではありませんが、銀行によっては金利が高くなったり、旧自宅に抵当権を設定して担保にするなど、それ相応の措置がなされるケースもあります。
そういったリスクと、売却に時間をかけられるというメリットを総合的に判断した上で利用を検討するのがよいでしょう。なおこちらのパターンも取り扱い自体がない銀行もあります。
【パターンD】
こちらは期間を設けずにダブルローンを組むパターンです。2本住宅ローンを組むことが可能な年収があればこちらも選択可能です。
ただ自宅を2つもつということは住宅ローンの貸し手である銀行からしたら不自然ですから、2本目はセカンドハウスローンのような扱いとなる可能性が高いです。
非常にハードルが高い上にそれほどメリットもないので、パターンDを利用するケースはあまりないでしょう。
まとめ
住み替えの時に使える住宅ローンは大別して4パターンあることをご紹介しました。ローンを組む難易度の高さはA<B<C<Dの順に高くなるという大まかなイメージです。
「住み替え 住宅ローン」などとインターネットで検索しますと、売却査定のサイトが出てきます。しかし査定する前に、自分が住み替える場合はどんな住宅ローンを利用できるのか、それにはどんなメリットやデメリットがあるのかを把握しておくと良いと思います。住み替えローンの利用をご検討の方は、ご自分がどのパターンに当てはまりそうか是非参考にしてください。